どうして僕らは、いちばん愛した人をいちばん悲しい形で思い出すのだろう。制服のまま壊れていく彼女を、何度も夢のなかで抱きしめた。
射精のたび記憶は巻き戻り、やり直せるはずの物語はむしろ深く歪んでいく。けれどあの夜彼女の肩にそっと置いた手のぬくもりだけは、今も僕の指先に残っている。

もう、君でイキたくない。の作者名はてぃーろんたろん
作品名は「もう、君でイキたくない。」、作者名はてぃーろんたろん先生。
錯綜する記憶と肉体 制服のまま過去に戻る
最初はただの願いだった。
「もう一度、やり直せたら」
けれどそれが現実になったとき、ゆうじは知る。過去は思い出よりも生々しく、再会はいつも予想の外側にあるのだと。ヒカリの笑顔は、薄く曇った硝子越しに見る春の空のようだった。
制服のまま誘われたキスも、泣きながら重ねた身体もどこか壊れていた。絶頂の瞬間、世界が巻き戻るたび彼女の純粋さはひとつずつ削り取られていく。
どうして幸福になろうとするほどに、彼女は遠ざかってしまうのだろう。
淫らな構図複数の欲望それでも僕は彼女にイキたい
飲み会の席で、彼女は誰かの指に髪をほどかれていた。薄暗いソファの奥で、僕の隣にはべる女が器用に舌を使っている。
それでも、僕の心は別の場所にいた。彼女があの男に跨るとき、僕の射精は避けがたく訪れた。愛情と悔恨、快楽と怒りが同時に爆発する.そんな感覚に僕は何度も何度も抗えずにいた。
貧しい胸元で笑った彼女の夢を、僕はきっと一生忘れない。もう君でイキたくない。けれど君でいつも射精してしまうんだ。
永遠に終わらない絶頂の輪廻
あの夜の彼女の表情を、僕は一生のうちに何度見るのだろう。一回の射精ごとにタイムリープする人生は、ある意味エロスの地獄だった。
複数の身体が交錯し、欲望の中心がどこにあるのかもわからなくなる。そのなかで制服を着たまま、彼女だけはずっと僕の核心にいた。
彼女にではなく、彼女でイクしかない。その運命が、ひどく悲しくそして切なく僕の性欲を肯定してくれた。
君のフェラじゃないけれども君の影で僕は果てる
目の前の女の舌技がいくら巧みでも、僕の脳裏にはヒカリしかいなかった。制服のまま誰かの下で腰を振る彼女に、僕は怒りや嫉妬や哀しみを感じるより先に射精していた。
それは恋とは呼べない。でも、愛だったのかもしれない。
何度でも彼女を思い出す。そのたびに、僕の身体はひとりでに果てる。そうして僕はまたあの春の午後に戻っていく。「もう、君でイキたくない」と祈りながら。
読み終えた後、僕は君の守られた未来に泣いてしまった。