世界はもう何千回もまわっているけれど「はじめての一回」は誰にとっても一度きりだ。黒髪の先輩と、童心を残した後輩。静かな夜、性器が触れ合い言葉より先に身体が優しく呼び合う。
koccハウス「-connect-」は、そんな記憶の原風景を描いた、ふたりの純粋でおだやかな性愛の物語だ。

タイトルは「-connect -」サークル名はkoccハウス
作品名は「-connect -」、サークル名はkoccハウス。
勃起を見る顔が好き。
清楚な黒髪がふれあった心に降りそそぐ
「やんわりめです」そんな短い言葉に、この物語のすべてがある。
彼女は先輩で控えめな乳房をシャツ越しに隠しながら、ふいに笑ってみせる。黒髪が肩にすべり落ちるたび、彼の視線はなにか柔らかいものに触れてしまったかのように揺れる。
彼は後輩。少しぎこちなくけれど彼女の一言一言に素直にうなずく。まだ少年のような心をもった男の子。そのふたりが「はじめて」を共有するとき、部屋の空気がすこしだけ変わる。
音楽も言葉もないのに、世界がやわらかくなる。
ゴム越しのぬくもり、それでもちゃんと伝わる愛
お互いが処女と童貞という事実を誰も笑うことはできない。
むしろ、そこにあるすこしの緊張と確かなときめき。少しずつ重なる身体。ゴム越しの優しさが、ふたりを何かから守るための儀式のように感じられる。
それはとても真面目で不器用で、けれど確かな愛の手順だった。
そして終わったあと。
互いに手を取り合って通学路を歩く。その手がぎゅっと握り返す瞬間に、ふたりのあいだに見えないものが一本、まっすぐ通ったのがわかる。
そう、この作品の題名が示すようにconnectだ。
エロくきゅんとなった「いろんなかたちの初体験」に立ち会う幸福
セックスが「体験」であることは間違いないけれど、本当に印象に残るのはそのあとで手を繋ぐかどうかなんじゃないかと思う。
この物語の先輩は、清楚で少し天然でそしてとても優しい。童貞の彼がそんな彼女に導かれながら、
ちゃんと「終わらせる」ことで、ふたりはただの先輩後輩から少し違う関係へと進んでいく。
それは派手さもなければ、過剰なエロスもない。でもだからこそ深く沁みる。「君がよければ、また明日も会いたい」そう思える夜のことを、僕たちはきっと忘れない。
いろんなかたちの初体験を僕らは知るのだ。