【媚熱サークル】清楚なる少女は学問の名を借りて堕ちてゆく【長頼】

名門と呼ばれる女子高のその白い壁に囲まれて、美咲はいつも自分の影を探していた。けれど彼女は成績が上がらずに親の期待を裏切ることに悩んでいた。努力することで、その不安を埋めようとしていた。

放課後、予備校の自習室で、高坂という生真面目で地味なJKと出会った。成績という不安に寄り添われたことで、美咲はほんの少しだけ心の隙間を見せた。

高坂に誘われて、彼女は制服姿のまま小さなマンションの一室へ向かった。

扉の向こうにあったのは勉強会ではなかった

扉を開けた瞬間、美咲は言葉をなくした。

部屋の空気は熱を帯び、香水と汗の混じる甘い匂いが漂っていた。今までに感じたことがないけれど、本能的に叩き込まれている熱と匂い。

そこには、大学生やJKと思しき男女が数人、低く灯る照明のもと本能のままで性器を交換し合っていた。

「勉強じゃ…ないんですか?」美咲が問うと、高坂は肩をすくめて笑った。「まあストレス解消」

その一言に彼女は引き返すこともできず、かといって進むこともできず、ただ制服の裾を握りしめた。その夜、彼女の常識はひとつ音を立てて剥がれ落ち、まったく知らない男に無垢という処女を捧げたのだ。

清楚な下着と知らぬ身体の熱と

あの夜を忘れることができず、参考書を前にして机で自慰に耽るJKの日々。

翌週、美咲は再びその部屋を訪れていた。理由は自分でもわからなかった。けれど、誰にも見せたことのない薄桃の下着を選び足元を白いソックスに包みながら鏡の前で髪を梳かす自分がいた。

そこでは身体の一部が触れ合うことだけが目的ではなく、知らない誰かと性器の繋がりを交わすことがすべてだった。

そこには女の子同士が声を抑えながら寄り添うさまもある。清楚という言葉の奥にひそむ、ひと匙の毒を孕んでいた。

美咲はまだ自分のことを悪い子だとは思っていなかった。ただそういう世界もあるのだと、他人ごとのように眺めていた。

なのに、指先ひとつが肩に触れただけで心の奥で何かが静かに、でも確かに目覚めた。

清楚の仮面の下で育つ欲望の樹

『媚熱サークル』が描くのは、いわゆる性的堕落ではない。

他者とのズレに苦しむ少女が、自分自身の欲望を見出すまでの過程にほかならない。

制服、下着、他者との沈黙のあいだに交わされるまなざし。それらは性的な記号であると同時に彼女が「自分であろうとした努力」そのものでもある。

この作品における乱交とは、むしろ孤独の分かち合いなのだと。

美咲という少女は、まだ名づけられぬ感情を抱いたまま、今日もきっと新しい誰かの熱のなかへと溶けてゆく。

媚熱サークルの作者名は長頼先生

作品名は「媚熱サークル」、作者名は長頼先生。