男であれば誰にでも優しく笑いかける彼女は、いつも少し遠い場所にいた。けれど唇が触れたとき、僕は確かに彼女の中にいた気がした。

こたえあわせの作者名は多紋サカキ
作品名は「こたえあわせ」、作者名は多紋サカキ先生。
いろんな男と性交し3P経験も告白してきたあの貧乳女子を思い出す。そんな作品。
誰にも聞こえない小さな恋のはじまり
彼女の名前は沙耶香。先輩という肩書きよりも、グラウンドの隅で配る冷えたタオルのやさしさが何よりも僕の胸に響いた。
噂はあった。
いろんな部を掛け持ちして、男を取っ替え引っ替え。そんな言葉は正直耳にしていたけれど、僕には関係のないことだった。
だって、彼女が僕に微笑んだ瞬間そのすべてがどうでもよくなったからだ。
恋に慣れたふりをする彼女と不器用な僕
「好きだよ、恭くんのこと」
言葉はあまりにも軽やかでそれが逆に胸をざわつかせた。
キスは柔らかくてどこかで覚えた動きのようだった。触れた指先も脱がされるときの手際も、あまりに自然で僕はただ翻弄されていた。
けれど、ある瞬間彼女の瞳の奥にふとした「ぎこちなさ」が宿った。
体の奥に差し込まれたゴム越しの優しさ、そして痛みをこらえるように震えた肩。そのとき僕は気づいてしまった。
JKの彼女は、何もかもがはじめてだったのだと。
ひとつひとつ確かめるように交わされた夜
貧乳だとか、男好きだとか、そういうことを言う人間はきっとキスの匂いや、熱のこもった声を知らないだけだ。
彼女はキスが好きだった。唇を重ねるたび、少しずつ素の表情を見せてくれた。たぶん僕が何度も触れたのは彼女の「経験」ではなく、その奥にある誰にも知られていない「やわらかさ」だったのだ。
そしてその夜、僕たちはゴム越しに触れ合った。
守られたというより大切にされたという感覚だけが彼女に残ってほしい。終わったあと、彼女が泣きそうに笑ったのを僕は今でも覚えている。
きっとこたえあわせはこれからもずっと続いていく
恋っていうのは、いつだって一方的なものだ。でもその一方がもう一方にやさしく触れたとき、そこにだけ確かな「こたえ」が生まれる。
彼女の笑顔は、たぶん誰にでも見せられるものだった。けれどその夜の彼女の声は、僕しか知らない。それだけで十分すぎるくらいのこたえあわせだった。